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本記事は2024年3月31日に更新しています。
この記事から分かること
- 国内取引所各社の海外取引所への送金状況
- 国内取引所各社の国内取引所への送金状況
トラベルルールとは、FATF(Financial Action Task Force、金融活動作業部会)と呼ばれる国際機関により、マネーロンダリングやテロ資金供与対策を目的として各国で導入が進められている取り決めのことです。
トラベルルールとは、「利用者の依頼を受けて暗号資産の出金を行う暗号資産交換業者は、出金依頼人と受取人に関する一定の事項を、出金先となる受取人側の暗号資産交換業者に通知しなければならない」というルールです。
bitbank Support トラベルルールとはなんですか
このトラベルルールに遵守するため、日本政府は2023年6月1日より「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等が改正されることになり、各取引所は送金制限を行うところが出始めています。
トラベルルール導入までの簡単な経緯
1989年6月 | マネロン対策の国際的な枠組み「FATF」がフランスで設立。 |
2015年6月 | G7サミットで暗号資産に対する規制の導入が宣言され、各国の暗号資産業者は登録・免許制になり、利用者も本人確認が必要になる。日本でも暗号資産業者は登録制に。 |
2018年10月 | FATF勧告15「新技術の悪用防止」が改訂され、暗号資産業者はマネロン等の規制が必要になる。 |
2019年6月 | FATF勧告16「電信送金」が改訂され、送付側と受取側に関する情報の通知が必要になり、このFATF勧告16がトラベルルールと呼ばれている。 |
2023年6月 | 犯罪による収益の移転防止に関する法律が改正され、日本の暗号資産交換業者はトラベルルールへの対応が必要になる。 |
最新の各社の海外取引所への送金状況は、次の通りです。
こちらのイラスト・表はテスト送金結果より作成しています。
海外取引所への送金制限がない国内取引所は、次の3箇所です。
オススメは海外送金用の仮想通貨XRP(リップル)を0.12%の格安の手数料で購入でき、海外への送金手数料も0.15XRPでほとんど掛からないビットバンクです。
※ビットバンクの取引手数料:Takerは0.12%、Makerは-0.02%(一部銘柄を除く)
ビットバンクは送金できない海外取引所を公表していますが、主に日本人が利用する海外取引所は含まれていません。
- Bithumb
- UPbit
- Korbit
- ProBit
- CoinOne
- GOPAX
- Kraken
- Coinbase
- Binance.us
- CoinList
- Gemini
- Bitstamp.net US
- Luno
- Independent Reserve.
- Crypto.com
- B2C2.com
- LMAX Digital
- HTX.com Gibraltar
- OSL.com
- BlockFi.com
- Bitfinex.com Bahamas
- OKX.com Bahamas
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ビットバンクの口コミ
スマホやパソコンから24時間使用できるので便利でした。アルトコインを安く取引できるのが魅力で使い始めたのですが、他の会社より手数料がかなり安くて良かったです。1円未満から取引できるのも嬉しいです。トレードの画像はシンプルだけど、知りたい情報はしっかりのっていて取引しやすかったです。セキュリティもしっかりしていて、安心して使用しています。
参照:みん評
取引開始にあたって、認証や入金確認の早さも魅力の一つでした。取引所によっては、必要書類は全て提出しても確認作業に半月ほど時間が掛かったり、不明な理由で断られることもあります。また、私の利用していた限りでは、サーバーがダウンしたり重くなって取引が不能に陥ったことはありません。
参照:みん評
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下のツールを利用することで、トラベルルール対応後の国内取引所から海外取引所への送金状況と、送金できないときの解決方法を簡単に調べることができます。
送金元の国内取引所と送金先の海外取引所をリストから選択し、確認を実行すると送金可否が表示されます。
簡単!送金状況の確認ツール(by ぱんだくりぷと)
※当メディアでは、金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」で認可を受けており、「関東財務局」に登録されている仮想通貨取引所の利用を推奨しています。また、当メディアの「仮想通貨」は「暗号資産」のことを指します。
暗号資産に関する注意事項は、金融庁・消費者庁・警察庁による「暗号資産の利用者のみなさまへ」を是非ご覧ください。
各取引所のトラベルルールの対応まとめ
日本政府が2023年6月1日より施行を決定した仮想通貨のトラベルルール対応による、取引所への送金の原則は次の3点です。
- 金融庁指定の通知対象国に送金する場合、同じトラベルルールを採用する取引所にしか送金できない
- 通知対象国外の取引所には、これまで通り送金できる
- プライベートウォレットを経由すれば制限はなし
国内取引所各社で例外もあるので、各社の対応の詳細をこの記事で確認しておきましょう。
コインチェック(Coincheck)の対応
トラベルルール対応後の、コインチェックの海外取引所への仮想通貨送金の状況は次の通りです。
国内取引所への送金状況は次の通りです。
BitgetとGate.ioの所在地はそれぞれシンガポール、ケイマン諸島であり、金融庁指定の通知対象国です。トラベルルールの採用は不明な取引所となっていますが、問題なく仮想通貨を送付できています。
原則通り、通知対象国外に所在を置いているBitget・Gate.io・Binace・Bybit・KuCoin・OKXには、これまで通り仮想通貨を送金できます。
MEXCはトラベルルールSygna Bridgeを採用しており、コインチェックの採用するTRUSTとは異なりますが、問題なく送金できています。
コインチェック(Coincheck)のトラベルルール対応に関する問い合わせ結果、テスト送金結果はこちらの記事に詳細をまとめています。
コインチェックの口コミ
コインチェックは仮想通貨ビギナーには最適だと思います。まず、アプリからのアクセスが簡単で、レイアウトも非常に見やすく、仮想通貨ビギナーの方でも簡単に仮想通貨を購入できると思います。あと、アルトコインも種類が豊富で、選択肢が多いというのもコインチェックの魅力のひとつだと思います。コマーシャルもやっているので、安全性も伺えるのでおすすめです。
参照:みん評
知り合いに「初心者ならここがいいよ」と言われ、コインチェックを選びました。入金からコイン購入までの手順がスムーズで、難しくてできないといったことはまずないと思います。また、チャートが見やすく、値の変動が分かりやすい点でもおすすめです。チャット機能も付いているため、他の人がどのような状況にあるのかもなんとなく分かって面白いです。外部アプリを用いた二重認証システムがあり、安全性についても十分信用できると思います。
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コインチェックの積立投資の始め方は、下の記事で詳しく解説しています。
ビットフライヤー(bitFlyer)の対応
トラベルルール対応後の、bitFlyerの海外取引所への仮想通貨送金の状況は次の通りです。
国内取引所への送金状況は次の通りです。
BitgetとGate.ioの所在地はそれぞれシンガポール、ケイマン諸島であり、金融庁指定の通知対象国です。トラベルルールの採用は不明な取引所となっていますが、問題なく仮想通貨を送付できています。
原則通り、通知対象国外に所在を置いているBitget・Gate.io・Binace・Bybit・KuCoin・OKXには、これまで通り仮想通貨を送金できます。
MEXCはトラベルルールSygna Bridgeを採用しているため、トラベルルールTRUSTを採用しているbitFlyerから送金することはできません。(宛先を新規追加することもできない)
ビットフライヤー(bitFlyer)のトラベルルール対応に関する問い合わせ結果、テスト送金結果はこちらの記事に詳細をまとめています。
ビットフライヤーの口コミ
ビットフライヤーは、仮想通貨ビギナーの方から上級者の方までメリットがある仮想通貨取引所だと思います。その理由は、ビットフライヤーでは、ビットコインはもちろん、それ以外のアルトコインの取引手数料も0.1%程度に抑えられており、こまめな取引を行ってもトータルマイナスになる可能性が少ないからです。
参照:みん評
色々な大手企業から出資を受けている会社なのでやはり安心感がありますね。リクルート、電通、三菱UFJなどすごい会社ばかりです。資金力や経営の安定性は全く問題ないと思います。取引画面は初心者でもわかりやすいレイアウトで、明るくわくわくするような印象を受けます。アプリでもシンプルで使いやすい画面になっています。
参照:みん評
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GMOコインの対応
トラベルルール対応後の、GMOコインの海外取引所への仮想通貨送金の状況は次の通りです。
国内取引所への送金状況は次の通りです。
MEXC・Bitget・Gate.ioは金融庁指定の通知対象国に所在地を置いている海外取引所です。採用しているトラベルルールを問わず、GMOコインは通知対象国には送金しない対応となっています。(宛先は追加できるが送金がキャンセルされる)
原則通り、通知対象国外に所在を置いているBitget・Gate.io・Binace・Bybit・KuCoin・OKXには、これまで通り仮想通貨を送金できます。
GMOコインのトラベルルール対応に関する問い合わせ結果、テスト送金結果はこちらの記事に詳細をまとめています。
GMOコインの口コミ
主人がこの取引所を使っていたので、安心なのでここを選びました。手数料も無料ですし、仮想通貨も有名なもので厳選しているので、信頼できます。スマホサイトで取り引きしているのですが、使いやすいです。サイトの内容もシンプルで、なんの迷いもなく操作ができます。
参照:みん評
仮想通貨の取引所は複数ありますが、GMOはネット関係では大手になるので信頼性が高いと思い、GMOコインを選びました。利用していると、非常に使い勝手が良く、見た目もシンプルで分かりやすいので、とても満足しています。
参照:みん評
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ビットバンク(bitbank)の対応
トラベルルール対応後の、ビットバンクの海外取引所への仮想通貨送金状況は次の通りです。
ビットバンクの国内取引所への送金状況は次の通りです。
BitgetとGate.ioの所在地はそれぞれシンガポール、ケイマン諸島であり、金融庁指定の通知対象国です。トラベルルールの採用は不明な取引所となっていますが、ビットバンクから問題なく仮想通貨を送付できています。
金融庁指定の通知対象国外に所在を置いているBitget・Gate.io・Binace・Bybit・KuCoin・OKXには、これまで通りビットバンクから送金できます。
MEXCはトラベルルールSygna Bridgeを採用しているため、同じトラベルルールを採用しているビットバンクから問題なく送金できます。
ビットバンク(bitbank)のトラベルルール対応に関する問い合わせ結果、テスト送金の結果はこちらの記事に詳しくまとめています
ビットバンクの口コミ
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ビットポイント(BITPOINT)の対応
トラベルルール対応後の、ビットポイントの海外取引所への仮想通貨送金の状況は次の通りです。
ビットポイントの国内取引所への送金状況は次の通りです。
BitgetとGate.ioの所在地はそれぞれシンガポール、ケイマン諸島であり、金融庁指定の通知対象国です。トラベルルールの採用は不明な取引所となっていますが、ビットポイントからは送金できませんでした。(宛先を追加できない)
原則通り、金融庁指定の通知対象国外に所在を置いているBitget・Gate.io・Binace・Bybit・KuCoin・OKXには、これまで通り仮想通貨を送金できます。
MEXCはトラベルルールSygna Bridgeを採用しているため、同じトラベルルールを採用しているビットポイントから送金できます。
ビットポイント(BITPOINT)のトラベルルール対応に関する問い合わせ結果、テスト送金結果はこちらの記事に詳細をまとめています。
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仮想通貨の取引が気になり取引所を調べたところ、とにかく国内外問わず膨大な数がありました。その中から私が選んだのが「ビットポイント」という取引所です。利用してみて他の取引所との違いは、まず手数料の安さ+明確さです。大手の取引所はかなりの手数料をもっていかれますが、ビットポイントは圧倒的に安いです。また、サイトにしっかりと手数料について明記してあり、信頼がおけました。
参照:みん評
やはり取引所については安心、信頼できるかが一番の決め手でした。調べてみると、リミックスポイント親会社が二部上場しており、元金融庁長官の名前を発見。口座開設のページも1ページで完結しておりストレスなく開設できました。
参照:みん評
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ビットトレード(BitTrade)の対応
トラベルルール対応後の、ビットトレードの海外取引所への仮想通貨送金の状況は次の通りです。
ビットトレードの国内取引所への送金状況は次の通りです。
BitgetとGate.ioの所在地はそれぞれシンガポール、ケイマン諸島であり、金融庁指定の通知対象国です。トラベルルールの採用は不明な取引所となっていますが、問題なく仮想通貨を送付できています。
原則通り、金融庁指定の通知対象国外に所在を置いているBitget・Gate.io・Binace・Bybit・KuCoin・OKXには、これまで通り仮想通貨を送金できます。
MEXCはトラベルルールSygna Bridgeを採用しているため、同じトラベルルールを採用しているビットポイントから送金できます。
ただし、ビットトレードへの問い合わせでは「6月1日以降は海外取引所に入出金できなくなる」といった回答が来ており、公式回答と実際の送金状況に矛盾があったので注意して下さい。
ビットトレード(BitTrade)のトラベルルール対応に関する問い合わせ結果、テスト送金結果はこちらの記事に詳細をまとめています。
ビットトレードの口コミ
ビットトレード(BitTrade)はユーザー同士で売買を行う取引所形式となっています。そのため、アルトコインが販売所形式でしか取り扱いのないビットフライヤー、コインチェックといった取引所と比べて、手数料が安く購入できます。
参照:みん評
2段階認証やSNS認証に加えマルチシグとコールドウォレットを使ってセキュリティ対策をしています。運営会社はFX業界の老舗で、取引所は金融庁に登録済みです。ちなみに、チャートはTradingViewが採用されており、見やすく使いやすいのに加え高度なテクニカル分析ツールも充実してますよ。
参照:みん評
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DMMビットコインの対応
DMMビットコインは、2023年6月1日のトラベルルール施行の前から海外取引所への仮想通貨送金が全面的に禁止となっています。(宛先を作成できない)
DMMビットコインの国内取引所への送金状況は、次の通りです。
こちらの記事でで昨年問い合わせた際の回答をまとめています。
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DMMビットコインの口コミ
手数料0円などのお得なキャンペーンがよく行われており、サービスが充実しているなと思います。苦情や相談に関しては電話できるので安心感もあります。ビットコインの様々なリスクや注意事項も分かりやすく、金融知識が浅い人にとっても安心して判断できそうです。
参照:みん評
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仮想通貨取引所のトラベルルールとは?
2023年6月1日により導入された仮想通貨の「トラベルルール」の概要について解説していきます。
トラベルルールとは、FATF(Financial Action Task Force、金融活動作業部会)と呼ばれる国際機関により、マネーロンダリングやテロ資金供与対策を目的として各国で導入が進められている取り決めのことです。
FATF(Financial Action Task Force、金融活動作業部会):マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の枠組み。
金融庁「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」より引用
トラベルルールでは、通知が必要な取引所に仮想通貨を送金するとき、法律等で定められている情報を通知することが必要となります。(JVCEA:法律等によって会員に求められる通知義務について )
- 送金人名
- 受取人名
- 顧客識別番号等
- ブロックチェーンアドレス等
このトラベルルールに適切に対応できる場合のみ送金を許可している場合が多く、取引所間にはよっては送金が制限がされている訳です。
このトラベルルールに遵守する必要が出てきた経緯は、以下の通りです。
沿革①:1989年にFATFが設立される
FATFは、元々は1989年7月に行われた第15回先進国首脳会議「アルシュ・サミット」で、マネーロンダリング対策における国際協力強化のため、先進主要国を中心として設立されたのものです。
その後、以下のような新しい対策範囲を加えながら、勧告を出しています。
沿革②:1990年4月に「40の勧告」策定
1990年4月には、各国におけるマネロン対策の基準として「40の勧告」が策定されました。
以下の40の勧告に従い、各国の法令整備等の状況が評価されます。
沿革③:2015年6月G7サミットで勧告強化
2015年6月に開催されたG7エルマウ・サミットにて、暗号資産という新しい支払手段に対する適切な規制の導入が宣言されました。
我々は、仮想通貨及びその他の新たな支払手段の適切な規制を含め、全ての金融の流れの透明性拡大を確保するために更なる行動をとる。
G7エルマウ・サミット首脳宣言(金融庁HP:暗号資産に係る法制度の整備より)
2014年にMTGOX社の破産事例がありましたが、あくまでもテロ対策の文脈で規制が必要という宣言になっていました。
これに伴いFATFは各国政府に対して、暗号資産交換業者に対して登録制・免許制を課し、利用者にも本人確認を義務付けるように勧告を行いました。
各国は、仮想通貨と法定通貨を交換する交換所に対し、登録・免許制を課すとともに、顧客の本人確認義務等のマネーロンダリング・テロ資金供与規制を課すべきである。
FATF ガイダンス(金融庁HP:暗号資産に係る法制度の整備より)
沿革④:2017年4月に改正資金決済法が施行
2015年6月のFATF勧告を受け、日本では2016年5月に資金決済法が改正されました。(2017年4月施行)
- 暗号資産交換業者は登録制に
- 口座開設では本人確認が義務
- 利用者保護で、取引所のルールを整備
※金融庁HP:暗号資産に係る法制度の整備より
沿革⑤:2019年6月に勧告16が改訂(ここでトラベルルールができる)
2019年6月にFATFの勧告16「電信送金」が改訂され、暗号資産の送付人と受取人の情報の確認・保存を取引所に課しました。
トラベルルールという用語がFATF内で正式にある訳ではありませんが、業界関係者にはこの改訂後のFATF勧告16「電信送金」が「トラベルルール」と認識されているようです。
トラベルルールとは、顧客が送金を実施する際、受取側・送付側事業者に対し、送付依頼人及び受取人の情報を保持・維持・(送付側事業者から受取側事業者への)通知を義務付ける AML/CFT 上の措置を指す。業界における一般用語であり、FATF 基準上の正式な用語ではないが、通常、FATF 基準上の勧告 16(電信送金)を指すものとして当局・業界関係者に理解されている。
金融庁 国際関係情報(その他):暗号資産・暗号資産交換業者に関する新たな FATF 基準についての12 ヵ月レビューの報告書要旨
沿革⑥:2023年6月に国内で法令が改正(ここで日本がトラベルルールに対応)
2023年6月1日から犯罪による収益の移転防止に関する法律等が改正され、日本の暗号資産交換業者はトラベルルール(改訂後のFATF勧告16)への対応が必要になりました。
犯罪による収益の移転防止に関する法律改正の概要は、金融庁のHPから確認できます。
これにより、私たちの送金に制限が出ている訳ですね。
通知プラットフォーム「Trust」とは?
TRUSTとは「Travel Rule Universal Solution Technology」の略称で、2022年2月16日米仮想通貨企業18社の間でローンチが発表された、仮想通貨のやり取りを安全に行えるプラットフォームのことです。
マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策を監督している国内機関であるFATF(金融活動作業部会)が提唱しているトラベルルールを遵守するためには、各取引所の間で共通したプラットフォームが必要になることから、TRUSTが開発されました。
TRUSTには、次の3つの特徴があります。
- 第三者に攻撃されて悪用されない為に、情報はTRUST加盟のメンバー間で暗号化して直接やり取りされる。
- 顧客情報が通知される前に、仮想通貨を受け取る取引所側で、本当に受け取りアドレスを所有しているかどうかを判定して証明できる仕組みを設けている。
- TRUSTに加盟するためには、マネーロンダリング対策・セキュリティ・プライバシーに関する要件を満たす必要がある
国内でもコインチェック・ビットフライヤーがこのTRUSTに加盟しています。
TRUST間では安全に仮想通貨のやり取りを行うことができ、FATFの提唱するトラベルルールに遵守できます!
TRUSTは送金に対応している仮想通貨が決まっており、コインチェックとビットフライヤーで次の仮想通貨以外はTRUSTで送金できないので注意しましょう。
コインチェック入出金可能 | ビットフライヤー入出金可能 |
---|---|
BTC | BTC |
ETH | ETH |
BAT | BAT |
ENJ | MATIC |
OMG | MKR |
PLT | SHIB |
SAND | PLT |
FNCT | |
CHZ | |
LINK |
上のリストは次の公式情報を参照して作成しています。
コインチェック2023年5月31日「暗号資産の送金・受取に関する詳細について」
ビットフライヤー2023年5月30日「トラベルルール導入に伴う当社の対応について」
日本人が主に利用する海外取引所でTRUSTを採用しているところはないため、コインチェックとビットフライヤー間では上のリストの仮想通貨しか送金できないと考えておけば問題ありません。
通知プラットフォーム「Sygna Bridge」とは?
Sygna Bridge(シグナ・ブリッジ)とは、FATF(金融活動作業部会)が提唱しているトラベルルールを遵守するために開発された、顧客情報を取引所間で共有するためのプラットフォームです。
Sygna Bridgeには、次の4つの特徴があります。
- Sygna APIのインストール等の作業だけで簡単に対応可能
- 低コストでトラベルルールに遵守できる
- 地域間の違いや、将来の規制の変化にも柔軟に対応できる仕組み
- 顧客情報は暗号化され、メンバー間だけで安全にやり取りされる
国内取引所では、主にGMOコイン・ビットバンク・ビットポイント・ビットトレード・DMMビットコインがSygna Bridgeに加盟しています。
Sygna Bridge間では安全に仮想通貨のやり取りを行うことができ、FATFの提唱するトラベルルールに遵守できます。
トラベルルールの仮想通貨送金制限の原則
2023年6月1日より施行のトラベルルールで押さえておくべき送金制限の内容は、次の5点です。
こちらの金融庁公式ホームページ記載の内容を参照して作成しています。
各取引所が全て原則通りの対応となっている訳ではないので、その点は注意して下さい。各取引所の対応は、本記事の各取引所のトラベルルール対応解説をご覧下さい。
①国内・国外への仮想通貨送金が対象
トラベルルールの対象となるのは、国内VASPと規定されている国外VASPへの仮想通貨の送金です。(法第10条の3、法第10条の5)
VASPとは「Virtual Asset Service Provider」の略称で、暗号資産に関連するサービスやプラットフォームを提供している団体を指すこと言葉です。
国内の仮想通貨に関連するサービス間の送金には全て適用され、金融庁指定の海外の一部の国への送金にも適用されます。
②送金する通貨の種類・金額は問わない
送金する仮想通貨の種類や金額は問わず、全ての仮想通貨の送金がトラベルルールの対象となります。(法第10条の3、法第10条の5)
少額であればトラベルルールの対象外ということはないので、注意しましょう。
③通知元と通知先で共通システムが必要
通知元と通知先では共通の通知システムが必要となっており、異なる通知システムを採用している取引所間では送金できないのが原則です。
情報通知システムには大きく分けて「TRUST」と「Sygna Bridge」の2つの種類があります。
例えば、日本国内の仮想通貨取引所は次のような通知システムの採用状況です。
- コインチェック
- ビットフライヤー
- GMOコイン
- ビットバンク
- ビットポイント
- ビットトレード
- DMMビットコイン
TRUST間の国内取引所同士、Sygna Bridge間の国内取引所同士でしか仮想通貨を送金することができないのが原則なので、注意しましょう。
④金融庁の通知対象国外には制限なし
金融庁指定の通知対象国に所在を置いていない海外取引所には、トラベルルールは適用されません。(政令第17条の2、3)
これまで通り、国内取引所から仮想通貨を送金できます。
金融庁指定の通知対象国は以下の通りです。
- アメリカ合衆国
- アルバニア
- イスラエル
- カナダ
- ケイマン諸島
- ジブラルタル
- シンガポール
- スイス
- セルビア
- 大韓民国
- ドイツ
- バハマ
- バミューダ諸島
- フィリピン
- ベネズエラ
- 香港
- マレーシア
- モーリシャス
- リヒテンシュタイン
- ルクセンブルク
最新の通知対象国は、金融庁のホームページから確認できます。
⑤プライベートウォレットは影響なし
プライベートウォレットへの送金の場合、法律上は送金先の案方資産交換業者への通知は必要ないことになっています。
ただし、プライベートウォレットの属性について調査・分析し、マネーロンダリング等のリスクを評価することは求められてているようです。
プライベートウォレットにはこれまで通り問題なく送金できるので、メタマスク等のウォレットを経由させれば全ての国内取引所から全ての海外取引所に送金できます。
参考:海外取引所の所在地&採用ルール一覧
日本で利用できる主要な海外取引所の所在地&採用ルールは次の通りです。
海外取引所 | 所在地 | 通知対象 | 採用ルール |
---|---|---|---|
Binance | 不明 | × | N/A |
KuCoin | セーシェル | × | N/A |
Bybit | ドバイ | × | N/A |
OKX | セーシェル | × | N/A |
Bitget | シンガポール | 〇 | 不明 |
Gate.io | ケイマン諸島 | 〇 | 不明 |
MEXC | シンガポール | 〇 | Sygna Bridge |
仮想通貨のトラベルルールに関するQ&A集
- 各社で異なる情報通知プラットフォームに加盟しているのは何故?
-
コインチェックとビットフライヤーはアメリカでも事業を行っています。
アメリカではTRUSTが普及しているため、TRUSTという1つのソリューションで日本のトラベルルール対応も行ったことが考えられます。
- 各社で海外取引所への送金制限に違いがあるのは何故?
-
法令には海外取引所への制限の仕方として、具体的な取引所名や何かのマニュアルが書かれている訳ではありません。
各社の法令の解釈でトラベルルールへの対応を行っていることが原因として考えられます。
まとめ:プライベートウォレット経由が安全
日本政府が2023年6月1日より施行を決定した仮想通貨のトラベルルール対応に伴う、各国内取引所の送金可否の状況は次の通りです。
トラベルルールの原則は、次の3点です。
- 金融庁指定の通知対象国に送金する場合、同じトラベルルールを採用する取引所にしか送金できない
- 通知対象国外の取引所には、これまで通り送金できる
- プライベートウォレットにはこれまで通り送金できる
実際には例外も多いので、上の画像・表を参考にしてください。
海外取引所への送金制限がない国内取引所は、次の3箇所です。
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【金融庁】仮想通貨に関する注意喚起
仮想通貨に関する法令・注意喚起について知りたい方は、以下の関連ページを一読することをオススメします。
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