
分散型取引所で仮想通貨のペアを提供してお金を稼いでみたいんだけど、インパーマネントロス?みたいなのがあって損することもあるの?インパーマネントロスで損しちゃう金額と仕組みについて知りたい!
この記事ではこんな方の悩みを解決します。
分散型取引所では、仮想通貨のペアを預けてイールドファーミングを行うことでお金を稼ぐことができますが、この時インパーマネントロスと呼ばれる損失が発生することがあります。



インパーマネントロスを考えずにイールドファーミングの利率だけを見てペアを提供していると、知らないうちに大損をしてしまう可能性があります!
必ずこの記事を読んでインパーマネントロスについて理解してからDEXでお金を稼ぐようにしましょう。
分散型取引所(DEX)ってそもそも何?という方はこちらの記事を最初にご覧ください。
- インパーマネントロスとはどんな損失か
- インパーマネントロスが発生する理由
- インパーマネントロスで発生するロス金額のイメージ
- 便利なインパーマネントロス計算ツール
インパーマネントロスとは何か


まずインパーマネントロスの概要について説明します。
LPに預けたペアの片方の価格が変わると発生するロス
インパーマネントロスとは、分散型取引所の流動性プール(LP)に仮想通貨のペアを提供したあとに、片方の仮想通貨の価格がもう片方の仮想通貨の価格に比べて相対的に上昇・下落したときに発生する損失のことを言います。
上昇・下落の割合が大きければ大きいほど、発生してしまうインパーマネントロスの額は大きくなります。
以下を例にインパーマネントロスがどんな状況の時に発生するか説明します。
BTCとUSDTのペアを以下のように流動性プールに提供しました。


LPを提供するときは、現在LPに入っているペアの比率と同じ比率で行います。
同じ比率で提供することになるので、LPを提供した後のビットコインの価格USDT/BTCは「10,000USDT/BTC」で変化しません。
では次に、このLPでビットコインとUSDTの取引が行われた場合について考えてみます。


1BTCを現在のDEXの価格である「10,000USDT/BTC」で購入すると、LPの中のBTCが1枚減って、USDTが10,000枚増えます。
この時、あなたが提供している仮想通貨のペアの枚数は以下の2つの条件式に当てはまるように変化してしまいます。
あなたが提供しているBTCの枚数をLP1、あなたが提供しているUSDTの枚数をLP2とします。
- LP1×LP2=一定
- LP1:LP2=売買取引後のLP全体のBTCの枚数:売買取引後のLP全体のUSDTの枚数
この式に先の具体例を当てはめてみます。
- LP1×LP2=10,000(最初に提供したLPの1BTC×10,000USDT=10,000)
- LP1:LP2=10BTC:120,000USDT
これを連立方程式として解くと以下のようになります。
LP1=0.91BTC
LP2=10,964USDT



僕の預けたBTCの枚数が減っちゃってる!でもUSDTの枚数は増えてるね!
このように、LP全体のBTCとUSDTの枚数の比の変化に合わせて、あなたが提供しているBTCとUSDTの枚数も同じ比率で減ったり増えたりしてしまいます。
これによる損を見てみましょう。


LPを提供した場合としていない場合を比べてみると、「22,000USDTー21,908USDT=92USDT」分を損をしてしまっていることが分かります。
このロスのことを「インパーマネントロス」と呼び、ペアで預けたLPのうち、片方の価格だけが相対的に上がったり下がったりすることによって発生します。
インパーマネントロスでどのくらい損をするのかイメージしよう
どのくらい損をするかイメージしてみる
インパーマネントロスの仕組みが分かったところで、自分の提供したLPにどの程度の価格変動が起きると、どのくらいの損失が発生してしまうのか、イメージしてみましょう。
おさらいですが、あなたのDEXに提供した仮想通貨のペアの枚数は以下の条件式に合うように調整されていきます。
BTC=LP1、USDT=LP2 とするとき、
- LP1×LP2=一定
- LP1:LP2=価格変動後のLP全体のBTCの枚数:価格変動後のLP全体のUSDTの枚数
この2つの式から以下のようなインパーマネントロスの金額を導くことができます。
- 1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
- 1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
- 1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
- 2倍の価格変動 = 5.7%の損失
- 3倍の価格変動 = 13.4%の損失
- 4倍の価格変動 = 20.0%の損失
- 5倍の価格変動 = 25.5%の損失
※Binance公式「変動損失の説明」より



5倍変わると25.5%も損失が出ちゃうんだ!マイナーなコインだとこのぐらい簡単に変わっちゃうから要注意だね・・・
仮に10ドルずつの仮想のペアを預けたとき、片方の仮想通貨の価格だけ2倍になった場合、30ドル×5.7%=1.7ドル分の変動損失が発生することになります。
このようにLPを提供するということは、提供しないときと比べて、大きく価格変動のリスクを受けるということになります。
LPの高い報酬だけに惑わされず、インパーマネントロスも考慮した投資戦略を考えるようにしましょう。
- USDT-USDCのペア:ステーブルコイン同士のLPは価格変動のリスクが低いですが、その分利率が低いです。
- BTC-ETHのペア:基本的にBTCとETHの価格変動には相関があります。利率はあまり高くないです。
- 主要コイン-草コイン:メジャーなコインとマイナーなコインは一方の価格変動リスクが大きいため、インパーマネントロスが発生する可能性が高く、利率が非常に高いものもあります。(数百パーセント等)
便利なインパーマネントロス計算ツールの紹介
インパーマネントロスがどのくらい発生するか簡単に調べることができるツールがあります。
例えば、$10ずつのペアで預けたときに、片方の仮想通貨の価格が2倍になると、5.72%のインパーマネントロスが発生することが分かります。(Binanceの表と同じ結果が得られます)


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