
分散型取引所のインパーマネントロスって何?仕組みと具体的にどのくらいの損失が発生するのか知りたいな・・・
- インパーマネントロスとはそもそも何か
- インパーマネントロスの仕組み
- インパーマネントロスの計算式徹底解説
- インパーマネントロスの損失早見表
インパーマネントロスとは分散型取引所で流動性を提供(ファーミング)しているとき、提供した仮想通貨ペアの片方の価格が相対的に変動する際に発生する損失のことを言います。


分散型取引所のファーミングは高利回りでお勧めな投資方法ですが、インパーマネントロスの仕組みや発生額を理解している方が少ないです。



インパーマネントロスは数十パーセントの大きな損失に繋がることも珍しくありません。
- 1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
- 1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
- 1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
- 2倍の価格変動 = 5.7%の損失
- 3倍の価格変動 = 13.4%の損失
- 4倍の価格変動 = 20.0%の損失
- 5倍の価格変動 = 25.5%の損失
※Binance公式「変動損失の説明」より
知らない内に大きな損失が出てしまっていることもあるので、本記事を読んで必ず概要を理解してから分散型取引所の投資を行いましょう。
インパーマネントロスとは
インパーマネントロスとは分散型取引所で流動性を提供(ファーミング)しているとき、提供した仮想通貨ペアの片方の価格が相対的に変動する際に発生する損失のことを言います。
Impermanent Loss(変動損失)とも呼ばれます。
- 1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
- 1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
- 1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
- 2倍の価格変動 = 5.7%の損失
- 3倍の価格変動 = 13.4%の損失
- 4倍の価格変動 = 20.0%の損失
- 5倍の価格変動 = 25.5%の損失
※Binance公式「変動損失の説明」より
例えば、ビットコインとステーブルコインで分散型取引所に流動性を提供しており、ビットコインの価格が1.2倍になった状態で流動性を提供を止めると約0.4%のインパーマネントロスが発生します。
この0.4%は流動性を提供せずに、ビットコインとステーブルコインをそのまま持っていた時と比べて0.4%損失が出ているという意味です。



ファーミングの年利(APR)が0.4%を超えていれば、運用にメリットがあったと言えますね。
ここからインパーマネントロスの発生の仕組みについて詳しく紹介していきます。
インパーマネントロスの実際の損失額がすぐに知りたい方は下からジャンプできます。
前提知識:分散型取引所の仕組み
インパーマネントロスを理解するには分散型取引所の仕組みを簡単に知っておく必要があります。
分散型取引所や流動性プールに関して既によく知っている方はこちらからインパーマネントロスの説明までジャンプして下さい。


分散型取引所(DEX)には管理者はいません。
コインチェックのように管理者がいて、仮想通貨を調達して販売所で売ってくれるような市場もありません。
分散型取引所は利用者が持ち寄った仮想通貨で市場が作られています。
利用者は仮想通貨を持ち寄って預けて市場に貢献することで、仮想通貨を利息として貰うことができます。



Pancakeswapなら仮想通貨CAKE、Uniswapなら仮想通貨UNIが貰えますね。
仮想通貨を持ち寄るときは以下の2つのルールがあります。
- 仮想通貨を1組のペアで預ける(例:ビットコイン&イーサリアム)
- 等価になるようにペアを作ってから預ける(例ビットコイン1枚&イーサリアム20枚)
このようなルールで作られた仮想通貨の市場は流動性プール(Liquidity Pool、LP)と呼ばれます。
このとき、持ち寄られた仮想通貨のペア間でのみ市場が作られます。
分散型取引所にBTC&ETHの流動性プールがあれば、利用者はBTCとETHを自由に交換(スワップ)できます。
BTC&USDTの流動性プールがあれば、利用者はBTCとUSDTを自由にスワップできます。



このように自由にスワップできる市場が作られている訳ですね。
分散型取引所の中の仮想通貨の価格は流動性プール内の仮想通貨の単純な割り算で計算されます。


BTC&USDTの流動性プールにBTCが11枚、USDTが11万枚あったら、1BTCの価格は1万USDTになります。



意外とシンプルだね!
インパーマネントロスの仕組みを理解するために必要な知識は以上です。
インパーマネントロスはLPの帳尻合わせ
ここからインパーマネントロスの仕組みの解説です。
結論、インパーマネントロスとは分散型取引所で流動性を提供(ファーミング)しているとき、提供した仮想通貨ペアの片方の価格が相対的に変動する際に発生する損失のことを言います。
Impermanent Loss(変動損失)とも呼ばれます。
例えば、ビットコインとステーブルコインで分散型取引所に流動性を提供しており、ビットコインの価格が1.2倍になった状態で流動性を提供を止めると約0.4%のインパーマネントロスが発生します。



イメージ画像を使って確認してみましょう。
まずはインパーマネントロスを発生させる価格の変化をイメージしてみます。


おさらいですが、分散型取引所内の仮想通貨の価格は、流動性プール(LP)の仮想通貨同士の単純な割り算で計算されます。
110,000枚のUSDTと11枚BTCで作られているLPプールを考えてみましょう。この時、1BTC=10,000USDTになります。
この流動性プールの市場でビットコインが1枚購入されると、BTCが1枚減ってUSDTが10,000枚増えますね。
仮想通貨の枚数比が変化するため、ビットコインの価格が1.2倍の1BTC=12,000USDTになりました。
これが分散型取引所内の仮想通貨の価格の動き方の基本です。



このようにビットコインの価格が1.2倍になった時のインパーマネントロスを考えてみましょう。
下の画像は、ビットコインの価格が1.2倍になり、約0.4%のインパーマネントロスが発生した時の例です。
あなたの最初の資産はビットコイン1枚とUSDT10,000枚です。
インパーマネントロスの金額は、22,000ドル-21,908ドル=92ドルとなります。(22,000ドルの約0.4%)


- 仮想通貨をガチホしている場合
-
あなたはビットコインとUSDTをそれぞれ10,000ドル分ずつ、合計20,000ドル分をメタマスクに持っています。
ビットコインの価格が1.2倍になると、あなたの資産は22,000ドルになりますね。
- 流動性プールに提供した場合
-
あなたはビットコインとUSDTをそれぞれ10,000ドル分ずつ、合計20,000ドル分を流動性プールに提供しました。
ビットコインの価格が1.2倍になると、あなたの提供したビットコインとUSDTは枚数が調整されます。
その結果、あなたの資産はガチホしてる時と比べて92ドル(0.4%)減ります。
この分がインパーマネントロスです。



なんで枚数が調整されるんだろう・・・



あなたの資産がガチホしてるときと比べて減った理由は、最初に紹介した流動性プール全体の価格変化にあります。
ビットコインの価格が上がるということは、流動性プール内の枚数比が変化することです。
具体的には、ビットコインがUSDT建で買われるので、ビットコインの枚数が減り、USDTの枚数が増えます。


この流動性プールにはあなたも提供していますよね。
流動性プール内の枚数比の変化は、流動性プールに提供している人が全員で協力して負担する必要があります。
流動性プール内のビットコインの枚数が減ったことによりビットコインは価格が上がっていますが、せっかく価格が上がっているビットコインの持ち分割合をあなた自身も減らさないといけないという訳です。
だからガチホしてるときより資産が減っており、この分がインパーマネントロスです。
インパーマネントロスの計算式
先程例に挙げた、1.2倍価格が変動した時に0.4%インパーマネントロスが発生するというのは計算式で導くことができます。
以下がその計算式です。
あなたが提供しているBTCの枚数をLP1、あなたが提供しているUSDTの枚数をLP2とします。
- LP1×LP2=最初に提供したBTC枚数×最初に提供したUSDT枚数
- LP1:LP2=変動後のLP全体のBTCの枚数:変動後のLP全体のUSDTの枚数



先程の例を当てはめると、こんな感じです。
- LP1×LP2=1×10,000
- LP1:LP2=10:120,000
これを連立方程式で解くと、以下の解が導けます。
- LP1=0.9128…
- LP2=10,954
ちなみに、LP1に1BTC=12,000USDTを掛けると、10,954ドルになります。
LP2とまったく同じになりました。
等価になるようにあなたの資産はリバランスされたことになります。



なんで等価にリバランスされるの?
流動性プールそのものが仮想通貨の価格を表しているため、価格が変動する前も変動した後も、流動性プールの中にあるBTCの総額とUSDTの総額は常に等価になっています。


常に等価になるように維持されるためには、あなたの提供した仮想通貨も等価になるようにリバランスされる必要があります。



インパーマネントロスの仕組みの解説は以上です。
インパーマネントロスの早見表
- 1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
- 1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
- 1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
- 2倍の価格変動 = 5.7%の損失
- 3倍の価格変動 = 13.4%の損失
- 4倍の価格変動 = 20.0%の損失
- 5倍の価格変動 = 25.5%の損失
※Binance公式「変動損失の説明」より
片方の仮想通貨の価格が相対的に上のように変動すると、インパーマネントロスが発生します。
取引量の少ない一部のアルトコインは5倍くらいの価格変動はすぐに起き得ます。
流動性を提供する銘柄には十分気を付けましょう。
インパーマネントロスの計算サイト
インパーマネントロスは以下の計算サイトを利用すると簡単算出できます。


Initial Pricesが変動前の価格、Future Pricesが変動後の価格です。
Resultsにインパーマネントロスのパーセンテージが出力されます。
裏の計算でやっていることは、上で紹介したこちらの式を連立方程式で解くのと同じです。
あなたが提供しているBTCの枚数をLP1、あなたが提供しているUSDTの枚数をLP2とします。
- LP1×LP2=最初に提供したBTC枚数×最初に提供したUSDT枚数
- LP1:LP2=価格変動後のLP全体のBTCの枚数:価格変動後のLP全体のUSDTの枚数
先程上げた例を入力してみます。
ビットコインの価格は10,000ドルで、片方はステーブルコインなので1ドルですね。
将来価格はビットコインが1.2倍の12,000ドルになりました。
その結果、インパーマネントロスは0.41%(約0.4%)と表示されました。
本来得ていたはずの資産から0.41%減ってしまうことになります。
インパーマネントロスへの対策
インパーマネントロスへの対策は以下の3つです。
- インパーマネントロスを上回るAPRを狙う
- 仮想通貨の価格が戻るまで待つ
- インパーマネントロスをが発生しにくいLPを狙う
インパーマネントロス越えのAPRを狙う
インパーマネントロスが発生しやすいファーミングはAPRが高いです。
APRを高く設定しないと、誰も流動性を提供してくれないからです。
年利が数十パーセントあるファーミング先も多く、中には100%を超えるものもあるため、インパーマネントロスを上回るAPRで運用できれば金額上は儲けを出すこともできます。


上の画像の流動性プールのようにAPRが30%を超えていれば、早見表より5倍以上の価格変動が起きない限り、十分な高利回りで運用できることが分かります。
しかし、アルトコインは価格変動が大きいものばかりです。



銘柄は十分注意して選ぶようにしましょう。
仮想通貨の価格が戻るまで待つ
価格変動でインパーマネントロスが発生しても、待っていれば解消されることがあります。
例えば、片方の仮想通貨の価格が大きく上昇してインパーマネントロスが発生してしまっても、もう片方の仮想通貨の価格が上昇するまで待てばインパーマネントロスを回避できます。
インパーマネントロスが確定するのは、流動性の提供を止めて解除したときです。
現在の相場の状況を考えて、インパーマネントロスが発生している状態でLPを解除して良いのかよく考えましょう。



もう少し待てばインパーマネントロスを抑えられたのに・・・というのはよくある話です!
インパーマネントロスがないLPを狙う
そもそも価格変動が発生しないステーブルコイン同士のLPや、値動きが似ている仮想通貨同士のLPを提供することで、インパーマネントロスを回避できます。
- USDT&USDC(BUSDもあり)
- BTC&ETH
ステーブルコインは価格変動が発生しない仮想通貨です。
ステーブルコイン同士のLPを提供することで、インパーマネントロスのリスクなしで運用できます。
APRは3%~7%程度で他のアルトコイン同士のペア等と比べると見劣りしますが、十分高利回りです。
ステーブルコインを寝かせている方は絶対に運用しましょう。
価格の動き方が似ている仮想通貨同士のペアもお勧めです。
ビットコインとイーサリアムはその代表です。
時価総額が大きく板が分厚いため、価格変動が他のアルトコインと比べると小さい傾向があります。
まとめ:仕組みとリスクを理解しよう!


分散型取引所のファーミングは高利回りでお勧めな投資方法です。
しかし、インパーマネントロスが発生するというリスクがあり、その仕組みや発生額を理解している方は少ないです。
- 流動性プールはみんなが仮想通貨を持ち寄っている
- 流動性プールの中身に変動があったら、みんなでその変動を負担する
- 具体的には、等価になるように提供した仮想通貨がリバランスされる
以上がインパーマネントロスが発生する仕組みです。
以下の早見表でインパーマネントロスの発生量をイメージしてから、ファーミングを行って下さいね。
- 1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
- 1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
- 1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
- 2倍の価格変動 = 5.7%の損失
- 3倍の価格変動 = 13.4%の損失
- 4倍の価格変動 = 20.0%の損失
- 5倍の価格変動 = 25.5%の損失
※Binance公式「変動損失の説明」より
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