- パンケーキスワップのスワップのやり方
- パンケーキスワップのスワップ見積りの見方
- パンケーキスワップでスワップできない時の対策
- パンケーキスワップのスワップ価格の仕組みと原理
パンケーキスワップは2023年4月4日に大型アップデートがあり、V2からV3になりました。
パンケーキスワップV3のスワップは、次の特徴があるオススメのスワップ方法です。
- ルート機能によりお得に安くスワップできる
- プライスインパクト・スリッページが発生しづらい
- BNB Smart Chainの流動性が多く、お得に安くスワップできる
パンケーキスワップはBNB Smart Chainの取引量ランキング1位の人気の分散型取引所です。是非本記事でスワップのやり方をマスターしましょう!(2023年4月27日時点の24時間あたりBSC取引量)


後半ではパンケーキスワップV3のスワップ価格が決まる仕組みについても詳しく解説しているので、人より分散型取引所にずっと詳しくなりたい方は是非最後までご覧下さい!
PC:パンケーキスワップ スワップのやり方


パンケーキスワップの仮想通貨にスワップは次の手順で行えます。


①スワップするためのガス代を用意
パンケーキスワップでスワップするためには、仮想通貨ウォレット「メタマスク」にガス代と呼ばれる手数料を用意する必要があります。
メタマスクは次のリンクからインストールできます。
BNB Smart Chainであれば仮想通貨BNB、Ethereumであれば仮想通貨ETHがガス代として必要です。
BNB Smart Chainなら1回の取引で数十円、Ethereumなら1回の取引で数百円から数千円ガス代が掛かります。
必要なガス代は海外取引所Bybit(バイビット)で購入できます。


海外仮想通貨取引所に日本円を直接入金することはできません。
Bybitで仮想通貨を購入するためには、国内取引所から仮想通貨を送金する必要があります。



Bybitへの送金手数料が無料の国内取引所ビットフライヤーの口座を開設して、送金手数料が無料の仮想通貨XRPを買って送金しましょう!
- bitFlyerで送金手数料が安い仮想通貨XRPを購入
- 仮想通貨XRPをBybitに送金
- XRPを使ってBybitでガス代となる仮想通貨を購入
- ガス代をメタマスクに送金



こちらの記事でbitFlyer⇒Bybit⇒メタマスクまでの一連のやり方を詳しく解説しているので参考にして下さい。
上の記事に従って、ガス代+交換元の仮想通貨をメタマスクに用意しましょう。
②メタマスクを接続
メタマスクにガス代を用意できたら、メタマスクをパンケーキスワップに接続しましょう。
こちらからパンケーキスワップのスワップ画面にアクセスできます。


Metamaskを選択すると接続できます。


③利用するネットワークを選択
メタマスクに接続できたら、パンケーキスワップで利用したいブロックチェーンを選択します。


④スワップする通貨・枚数を選択
スワップで利用したいブロックチェーンが選択できたら、スワップ元の仮想通貨とスワップ先の仮想通貨を選びましょう。


その次にスワップする枚数を入力します。
片方に枚数を入力すると、もう片方は自動で入力されます。
全て入力したら「スワップ」を選択します。
スワップの見積もりの内容を確認したら「スワップの確定」を選択します。
⑤ガス代を払ってスワップ実行
メタマスクのガス代支払い画面が表示されるので、ガス代を支払ってスワップは完了です。





BNB Smart Chainは処理能力が高いブロックチェーンなので、数秒~数十秒で取引が承認されます!
補足:スワップの見積もりの見方
SP:パンケーキスワップ スワップのやり方



基本的なスワップの手順の操作は全てPC版と同じです!
メタマスクアプリをパンケーキスワップに接続する手順は次の通りです。
こちらからパンケーキスワップのスワップ画面にアクセスします。
「ウォレットを接続」をタップして「Metamask」を選びます。


メタマスクのアプリ上でパンケーキスワップを開けました。
もう一度「接続」をタップしてMetamaskを選ぶことでメタマスクアプリと接続できます。


接続するメタマスクのアカウントを選んで「接続」をタップしたら完了です。


パンケーキスワップv3の見積もりの内容


パンケーキスワップのスワップ画面の見積もりの次の4つの意味についてご紹介します。
下の赤枠に表示されている見積もり結果は、上の②プライスインパクトと③取引手数料が指し引かれた後の受け取り枚数となっています。





スリッページとガス代は含まれておらず、別途発生します!
①最低獲得量はスリッページで決定
最低獲得量(Minimum received)は、設定したスリッページ許容度までスリッページが最大に発生した場合の最小スワップ量のことで、最もスワップ効率が悪かった場合の受け取り枚数を意味しています。
パンケーキスワップでスワップ実行を選択してから、実際に取り引きが処理されるまでには時間があります。
サーバーを経由したり、プログラムで処理されたりするまでの時間です。
このわずかな間でもあなた以外のスワップ取引が実行され、その間に価格が変動することがあります。



この価格変化のことをSlippage(スリッページ)と呼びます。
スリッページ許容度は自由に設定でき、設定した許容度を超える価格変動が起きるとスワップが自動でキャンセルされる仕組みになっています。(この時ガス代は返却されません)
- 取引が成立しやすくなり、無駄がガス代を支払わなくて済む
- 不利な価格でスワップが成立してしまう可能性がある
- 注文通りの価格でスワップできる
- 取引がキャンセルされやすくなり、無駄なガス代を支払う可能性がある
パンケーキスワップをBNB Smart Chainで利用する場合、ガス代は数十円で済むため、基本的には狭く設定しておいても問題ありません。
仮に失敗してガス代を無駄に支払うことになっても、影響が小さいからです。
BNBやETHといった主要な仮想通貨は流動性の提供量が多く、価格変動が少ないため0%~0.5%で問題ありません。



マイナーな仮想通貨は流動性の提供量が少なく、価格変動が大きいので5%~10%まで許容度を見ておきましょう!
②プライスインパクトは価格上昇の影響
プライスインパクト(Price Impact)とはあなた自身のスワップによって仮想通貨の価格上昇分のことで、このプライスインパクトのパーセンテージ分だけ表示価格から不利な価格でスワップすることになります。
パンケーキスワップでは、仮想通貨投資家が流動性を提供しており、私たちは流動性のプールとスワップ取引をしています。


流動性から仮想通貨の枚数が少なくなると、仮想通貨の価格が上がる仕組みです。



買われると価格が上がるから、中央集権取引所とイメージは同じだね!
この時、あなたがスワップする時の仮想通貨の価格は、あなたのスワップ量の大小によっても変わる仕組みになっています。(本記事後半でパンケーキスワップのスワップ価格の決まり方を詳しく解説しています)
流動性が少ない流動性プールに対して大量のスワップを行うと、プライスインパクトが大きくなり、余りにも大きいとパンケーキスワップ側に差し止めれてスワップができなくなります。



利用者が不利な価格でスワップすること、プールが枯渇するのを防ぐためです!
大きめのスワップを行うときは、プライスインパクトを確認する癖を付けましょう。
③取引手数料は流動性提供者への手数料
パンケーキスワップの取引手数料(Trading Fee)とは、流動性提供者に支払う手数料(報酬)のことです。
パンケーキスワップのような分散型取引所の市場は仮想通貨投資家が提供してくれている流動性で出来あがっています。
パンケーキスワップでは、流動性を提供してくれた人は報酬として次の2つを貰えます。
- 仮想通貨CAKEの新規発行量の一部
- スワップ利用者が支払う取引手数料



スワップ利用者が支払う取引手数料は、パンケーキスワップの市場を作るための大切なインセンティブになっているんだね!
支払う取引手数料は、流動性提供者側が以下の4つから自由に設定して決めていきます。
- 1%(マイナーなペアに最低)
- 0.3%(ほとんどのペアに最低)
- 0.05%(安定的なペアに最適)
- 0.01%(非常に安定したペアに最適)
流動性提供者側で追っているリスクが高い仮想通貨ほど、設定される取引手数料は高くなる傾向があります。
ステーブルコインであればほぼ最低の0.01%が取引手数料として設定されます。



取引手数料のパーセンテージは、次の④で紹介する「ルート」から確認できます。
④ルートは利用する流動性プールを示す
パンケーキスワップの見積もりの「ルート(Route)」は、あなたがスワップで利用することになる流動性プールを示しています。
例えば、仮想通貨BNBを仮想通貨ATLにスワップすると次のようなルートが表示されます。





一度BUSDを経由してるけど、なんでだろう・・・?
これは、BNB&ATLの組み合わせの流動性プールがパンケーキスワップには存在せず、BNBからATLに直接スワップすることができないからです。
パンケーキスワップのような分散型取引所では、存在している流動性プールでのみスワップができます。
パンケーキスワップではBNB&BUSDとBUSD&ATLの流動性プールはあるので、一度BNBをBUSDにスワップした後、そのBUSDをATLにスワップするという処理を行う必要がある訳です。
実際にルートが増えれば増えるほど、行うスワップの回数も増えて支払うガス代は高くなります。
また、スワップする量が大きいと「分離ルート」が表示されることがあります。


1つの流動性プールで大量のスワップを行うと、プライスインパクトが発生しやすくなります。
複数の流動性プールのスワップに分割することで、プライスインパクトが発生しづらくなります。
ルートでは「Auto Router」と呼ばれる最も安く効率的にスワップする方法を自動提案する機能があり、プライスインパクトが一番発生しない方法を探してくれている訳です。



分割されればされるほど支払うガス代も増えますが、ガス代の金額も踏まえて自動提案してくれているため、分割ルートになっていても気にせずスワップを行いましょう!
補足:ガス代は見積もりには含まれない
パンケーキスワップの見積もり画面にガス代は含まれておらず、ここから別途ガス代分は差し引かれます。
自動提案される見積もりはガス代を含めて最も安く効率的にスワップできる方法になっているので、ガス代分を気にする必要はありません。(ルート機能の1つのGas Cost Awareness)
スワップ画面に表示されるルートの詳細
前提知識として、分散型取引所では人間と仮想通貨を取引する訳ではありません。
分散型取引所には仮想通貨がたくさん集められている「流動性プール」と呼ばれる保管場所があり、ここに仮想通貨を入れると同じ金額分別の仮想通貨を自由に取ってもいい仕組みになっているからです。



これが仮想通貨のスワップのことだね!
流動性プールはそれぞれのスワップペア毎に存在し、それぞれの流動性プール毎に単純な割り算で仮想通貨の価格が計算されており、これをAMM(Automated Market Makers)と呼びます。
PancakeswapV3には、複数の流動性プールでスワップを行って最も安く効率良くスワップできる方法を自動提案してくれる機能があり、これを「オートルーター(Auto Router)」と呼びます。
オートルーターには次の3つの特徴・メリットがあります。
- ルートを自動分割する
- プライスインパクトを考慮した見積もりを作成する
- ガス代を考慮した見積もりを作成する
PancakeswapのAuto Routerの仕組みはUniswapがベースになっており、以下のUniswapのRouteに関する公式文献を参照してこの内容を作成しています。
特徴①:Split Routes
Split Routes(ルートの分割)とは、複数のルートを自動で組み合わせて最も金額面で効率良く取引できる方法を提案してくれる機能です。
下の画像はUniswapのルート分割の例として掲載されていた画像です。
あなたは仮想通貨COMPを仮想通貨USDCにスワップしようとしています。
上が従来の通常のスワップとなっており、下が複数のルートでスワップした結果です。


従来のスワップでは637,110USDCしかスワップできていませんが、複数のルートを組み合わせてスワップすることで、よりたくさんの771,799USDCにスワップできました。
このように、ルートを組み合わせるとスワップの仕方に幅が広がり、効率の良いスワップができる可能性が生まれます。



ほんとだ・・・!でもなんで複数のルートを組み合わせると効率よくスワップできるようになるの?



それは次のAuto Routerの特徴②で分かります!
特徴②:More Powerful Algorithm
More Powerful Algorithmとは、大きな金額で大量のスワップを行うときにスワップ効率が特に良くなるAuto Routerの特徴のことです。



下のUniswapで例として紹介されている画像でイメージしてみましょう。
あなたは8千万USDT(約100億円)をUSDCにスワップしようとしています。


上のStandard Router(従来のスワップのやり方)では、約3千万USDCにしかスワップできていません。



同じステーブルコインだから、同じ枚数でスワップしたいのにどうしてだろう・・・?
分散型取引所のスワップでは大量のスワップを行うと、プライスインパクト(Price Impact)が発生することがあります。
Price Impactとはあなたの大量取引による値上がりのことで、普通の仮想通貨取引所で例えると、売り板が薄いにも関わらずあなたが大量に買い注文を出したことで、あなた自身が高値で取引をする必要があるイメージです。
複数の流動性プールを組み合わせてスワップすることで、プライスインパクトは避けることができます。


Standard Routerのルートはスワップする量に対して流動性プールの中身が少ないので、あなたの取引によって値上がりしてしまい、不利な条件でスワップをすることになってしまっています。
Auto Routerはこの割合を10%に減らし、他の流動性プールを活用してUSDTをUSDCに交換するルートも組み合わせてスワップする方法を提案してくれていることが分かります。
画像が小さいですが、Standard RouteではUSDT&ETHのプールで一度ETHにスワップし、その後ETH&USDCのプールでUSDCに交換する流れです。(どちらかの流動性は少なく、プライスインパクト発生)
Auto Routerでは次の3つのルートを組み合わせています。
- USDT&USDC
- USDT&DAI⇒DAI&USDC
- USDT&ETH⇒EHT&USDC



それぞれの流動性プールで流動性が十分用意されていれば、プライスインパクトが防げるかもしれないんだね!
特徴③:Gas Cost Awareness
Gas Cost Awareness(ガス代認識)とは、ガス代の支払い金額も含めて最終的に最も効率良くスワップできる方法を提案してくれるAuto Routerの特徴の1つです。
前提知識として、次の2種類の手数料を普段私たちは支払っています。
- スワップ手数料(Trading Fee)
- ガス代(Gas Fee)
スワップ手数料は分散取引所のコミュニティや流動性プールに仮想通貨を提供してくれている投資家に支払います。
ガス代はあなたの取引を承認してくれているブロックチェーンの承認者に支払います。



以上のことを踏まえた上で、Uniswapが公式で紹介しているイラストを元にイメージしてみましょう!
あなたは仮想通貨ETHを仮想通貨LINKにスワップしようとしています。


従来のスワップ(Standard Router)では次の2つの流動性プールを経由しています。
- ETH&USDT⇒⇒USDT&LINK
2つの流動性プールでスワップを行うと、ガス代が多く発生してしまいます。
しかし、ガス代金額を含めて提案できていないため、最もプライスインパクトが少ない方法を提案しているイメージです。
Auto Routerでは、ガス代分を考慮した結果、ETH&LINKの1つの流動性プールで直接スワップを行っています。
プライスインパクトが多く発生している可能性もありますが、ガス代が1回分で済んでおり、合計額ではより効率が良いことが分かります。



Auto Routerはこの3つの方法で一番効率良くスワップできる方法を提案してくれるんだね・・・便利!
パンケーキスワップでスワップできない時


パンケーキスワップで仮想通貨のスワップができない時は、次の4つのケースが考えられます。
※読みたい所にジャンプできます。



それぞれの原因と対策を解説していきます!
①ガス代が不足してスワップできない
パンケーキスワップのスワップでは仮想通貨をガス代として支払う必要があるため、ガス代が不足しているとスワップできません。
各ブロックチェーン毎に、仮想通貨の取引を承認してくれる承認者(バリデーター)がいます。
バリデーターには各ブロックチェーンに対応する仮想通貨をガス代として支払います。
- BNB Smart Chainなら仮想通貨BNB(バイナンスコイン)
- Ethereumなら仮想通貨ETH
BNB Smart ChainとEthereumはプルーフオブステークと呼ばれる、仮想通貨を大量に保有することでバリデーターになることができる仕組みを採用しているので、バリデーター側もリスクを負っています。



それに見合う手数料をガス代として支払う必要があるんだね!
Ethereumなら1回の取引で数百円から~数千円、BNB Smart Chainなら1回の取引で数十円掛かるので、スワップする前に必ず用意しておきましょう。
②メタマスクで「失敗しました」となる
パンケーキスワップでスワップを実行してから実際に処理されるまでの間に、設定したスリッページ許容度を超える価格変動が起きると、スワップが失敗してしまいスワップできません。


スリッページ許容度はスワップ画面で設定できます。
パンケーキスワップでスワップ実行を選択してから、実際に取引が処理されるまでには時間があります。
サーバーを経由したり、プログラムで処理されたりするまでの時間です。
このわずかな間でもあなた以外のスワップ取引が実行され、その間に価格が変動することがあります。



この価格変化のことをSlippage(スリッページ)と呼びます。
流動性の提供量が少ない流動性プールは価格の変動が大きいため、スワップが処理される僅かな時間でも価格が変わることがあります。
パンケーキスワップではスリッページ許容度が初期設定で0.5%となっていますが、スワップが処理されるまでの時間で0.5%以上の価格変動が発生するとスワップが自動でキャンセルされる仕組みになっている訳です。



このとき、ガス代は返却されません。
設定を誤ると無駄なガス代を支払うことになるので、スワップを行う仮想通貨毎の設定の目安を知っておきましょう。
- イーサリアム・BNB等の主要な通貨:0%~0.5%
- マイナーな通貨:5%
主要な仮想通貨の場合、流動性プールが多く提供されているため、スワップが処理されるまでのわずかな時間で0.5%価格が変動することは少ないため、0.5%より小さく設定しても問題なくスワップできる場合がほとんどです。
③プライスインパクトが高すぎます
「プライスインパクト(Price Impact)が高すぎます」とは、あなた自身の取引によってスワップ価格が上昇してしまい、あなたが不利な価格なスワップすることになるため、パンケーキスワップ側がスワップを差し止めておりスワップできない状態になっていることを指します。
スワップによる価格変化のしやすさ、流動性プール内の仮想通貨の量によって決まります。(パンケーキスワップの価格決定の仕組みは後半で解説しています)
少ない流動性プールで大量のスワップを行うと、プールが枯渇させない&利用者に不利な価格でスワップさせないために、差し止められる仕組みになっています。



この場合の対処法は、別の分散型取引所か中央集権取引所を利用することです。
流動性が多く提供されてる分散型取引所か取引板が厚い中央集権取引所を利用すれば、プライスインパクトが発生しません。
Dexscreenerというサイトで全分散型取引所の各流動性プール量を確認できます。


また、Coinmarketcapでスワップした仮想通貨を入力すれば、中央集権取引所の取り扱い先が一覧で出てきます。


④スワップしたい通貨が見つからない
パンケーキスワップでスワップしたい仮想通貨が検索画面でヒットしない場合、パンケーキスワップで流動性プールが用意されていないためスワップができません。
パンケーキスワップといった分散型取引所では流動性プールに対して取引を行います。





流動性プールが用意されていなければ、スワップ先が存在しないのでスワップできません。
これはその仮想通貨を発行しているプロジェクト側のパンケーキスワップのコミュニティ側の意向によるものなので、別の分散型取引所か中央集権取引所で行うようにしましょう。
補足:Pancakeswapスワップ価格の仕組み
パンケーキスワップのスワップ価格の決まり方の仕組み・原理について解説していきます。
パンケーキスワップは2023年4月4日に大型アップデートが行われてV2からV3となり、その仕組みも変わりました。



最初にV2の仕組みについて紹介し、次に最新のV3を解説します!
パンケーキスワップV3はユニスワップV3を元にした仕組みとなっており、この内容は次のユニスワップ公式文献を参照して作成しています。
従来のPancakeswapV2の価格の仕組み
分散型取引所では流動性プールと取引を行うため、中央集権取引所のように売り板や買い板があり、注文価格に応じる訳ではありません。
AMM(Automated Market Makers)という自動で仮想通貨のスワップ価格が決まる仕組みがあり、各流動性プール毎にこのAMMによって仮想通貨に価格がついています。
パンケーキスワップで表示されている仮想通貨の価格は、各流動性プール内の仮想通貨ペアの単純な割り算で決まります。





こんな簡単に決まっていたんだ!意外とシンプルだね!
しかし、これは飽くまでも表示上の話で、実際にあなたスワップするときの価格は表示価格とは異なります。



それはあなた自身の取引により、本記事で解説したプライスインパクト(Price Impact)が発生するからです。
パンケーキスワップV2の流動性プールの仮想通貨の枚数(2種)をX,Yとすると、流動性プールの中の仮想通貨の枚数は次の式に従って変化します。
\(XY=k\)
これがパンケーキスワップV2の根本の仕組みを表す式です。


このグラフ上の点の(X,Y)の単純な割り算でそれぞれの地点における仮想通貨の価格も計算されます。(価格=Y/X)



次に簡単な例を挙げて、パンケーキスワップV2における、プライスインパクトを踏まえたあなたのスワップ価格を計算してみましょう!
次のような流動性プールをイメージしてみます。
- USDT=40,000枚(USDTの流動性枚数をX)
- BTC=2枚(BTCの流動性枚数をY)
- AMM:XY=80,000
ビットコインの価格は1枚20,000USDTになります。(単純な割り算で計算され、40,000÷2)
kである80,000の値はずっと変わりません。(実際には流動性が追加で提供されたり解除されたりすると変わりますが、今回の例では追加で提供しないので変わりません。)
あなたはこの流動性プールで10,000USDTを使ってビットコインを購入しました。



今ビットコインは1枚20,000USDTだから、10,000USDTを使って半分の0.5BTC分はこのスワップで買いたいよね・・・
この時、あなたのスワップによって流動性プール内のそれぞれの仮想通貨の枚数はXY=kに従って次のように変わります。
- まず変化後のXをAMMの式に入れる:(40,000+10,000)Y=80,000
- Yを計算する:Y=80,000÷50,000=1.6
あなたが10,000USDTを流動性プールに入れてスワップしようとすることでXは50,000になり、それに対応するようにYが定まることがポイントです。
Y=1.6になり、スワップ前に流動性プールの中に元々あったBTC2枚との差分0.4枚があなた受け取れるビットコインです。



これであなたがスワップしようとしているビットコインの価格が分かりましたね。
10,000USDT/0.4BTC=25,000USDT/BTCとなり、1ビットコインの価格は25,000ドルとなります。





表示価格では0.5BTC受け取れるはずだったけど、0.4BTCになってる!この差分の0.1BTCがプライスインパクトなんだね!
これがパンケーキスワップV2の価格決定の仕組みで、XY=kを元に全て決まっていきます。
XYの積である一定のkを元にしたAMMの仕組みとなっており、このようなAMMのこと「Constant Product AMM(定積AMM)」と呼びます。
新しいV3の価格の仕組み(イメージ)
2023年4月4日に導入されたパンケーキスワップV3も基本的な考え方はV2と同じです。
xy=定数に従って仮想通貨の価格は決まります。
しかし、各個人が流動性を提供する価格帯を自由に設定できるという大きな特徴があります。
以下のように、流動性を提供するときに自分の流動性が機能する上限価格と下限価格を決めています。


現在価格が流動性を外れた場合、自分の流動性は利用されませんが、価格帯に該当している時は取引手数料をたくさん貰うことができます。
これはパンケーキスワップV3の仕組みは「資本効率性(Capital Efficiency)」を大切にしており、少ない資本でもよく利用されている価格帯に流動性を提供してくれることに対して多くのインセンティブを与えたいからです。
従って、投資家全員で1つのxy=kといった流動性プールを作りあげていくのではなく、各個人が自分の流動性プールを持ち、それが各価格帯に配置され、各流動性プールが積み重なった結果1つの流動性プールができあがっているイメージです。





次に、V3の流動性プールの仮想通貨の価格が決まる仕組みについて具体的に解説していきます!
パンケーキスワップV3では各投資家が次の式に従うX,Yの流動性プールを持っています。
\((x+\frac{L}{\sqrt{Pb}})(y+L\sqrt{Pa})=L^2\)
上の式は、次の式をベースに作られています。
\(xy=L^2\)



このままではV2と同じになってしまうので、V3の特徴を表現するためにこのグラフに調整を行っていきます。
V3は流動性を提供するときに、下限価格を現在価格より大きく設定したり、上限価格を現在価格より小さく設定すると、片方の流動性提供枚数がゼロ枚になるという特徴があります。
これはパンケーキスワップV3が「資本効率性」を重視しているからです。
下限価格が現在価格より大きく設定したということは、その流動性は価格上昇局面でしか利用されません。
上昇局面では今買われている仮想通貨しか必要ないため、もう片方の仮想通貨の提供枚数はゼロ枚になります。
この特徴をグラフに反映させましょう。
話をイメージしやすくするために、今回提供する流動性の枚数はBTC(x)&USDT(y)で考えます。ビットコインの流動性提供枚数がx、ステーブルコインUSDTの流動性提供枚数がyです。
ビットコインの価格をPとすると、Pは次のように表せます。
\(P=\frac{y}{x}\)
このとき、xとyはそれぞれLとPを使って次のように表せます。
①:\(xy=L^2\)
②:\(y=Px\)
上記の2式より、\(x=\frac{L}{\sqrt{P}}\)
①:\(xy=L^2\)
②:\(y=Px\)
上記の2式より、\(y=L\sqrt{P}\)
V3の流動性は現在価格が上限または下限に達すると片方の流動性しか提供する必要がないことが特徴でしたが、これは次のようなグラフです。
- \(xy=L^2\)のグラフを-x方向に\(\frac{L}{\sqrt{Pb}}\)だけ平行移動する
- \(xy=L^2\)のグラフを-y方向に\(L\sqrt{Pa}\)だけ平行移動する
Pbは上限設定した価格、Paは下限設定した価格です。
平行移動させたグラフとその式が次の通りです。





冒頭でパンケーキスワップV3もxy=定数で仮想通貨の価格が決まると言いましたね。
パンケーキスワップV3では仮想通貨の流動性の枚数変化を表すグラフと、仮想通貨の価格を決定するグラフが別になっています。
先程平行移動して作成したグラフを流動性の変化を表すリアルカーブ(Real Curve)、そして平行移動する前のグラフをバーチャルカーブ(Virtual Curve)とするとき、流動性の枚数変化と仮想通貨の価格変化は次の図の関係になっています。


流動性の枚数が点cから点aまでリアルカーブ上で移動したとき、実際の仮想通貨の価格変化は平行移動する前のバーチャルカーブ上で表されるという訳です。
ここで下のイラストのように3人異なる価格帯で流動性を提供している例を挙げて、あなたのスワップ価格の決まり方をイメージしてみましょう。


現在価格時点では、Aさんの流動性プールのみが価格レンジに入っていて機能しています。
つまり、この流動性が該当している価格価格範囲のときは、Aさんのバーチャルカーブ上のグラフで仮想通貨の価格が決まっていきます。
ここでUSDTで全てのBTCが購入されると、赤①の位置まで移動し、この流動性は価格帯から外れて機能しなくなります。
今度はBさんの流動性が機能するようになり、赤②からスタートします。Bさんの流動性は最初BTCでしか供給されていません。さらにBTCが買われると赤③にどんどん移動していきます(同時にUSDTのポジションも増えていきます)。
Bさんの流動性が最初BTCしか供給されていないのは、2個目の流動性のスタート時点ではBTCしか必要ないからです。(資本効率性)
②に移った時点ではBさんの流動性プールにUSDTはありませんが、BTC売却でUSDTが必要な場合は、1個目のAさんの流動性が再び機能することになります。



このようにパンケーキスワップV3では価格帯毎にスワップで利用するグラフが移り変わっていくイメージです!
新しいV3の価格の仕組み(詳細)
この内容は以下の公式文献を参考に作成しています。
https://uniswapv3book.com/docs/milestone_2/output-amount-calculation/
次に、実際にバーチャルカーブ上でのスワップ価格の決まり方を実際にプログラムされている式(スマートコントラクト)で見ていきましょう。
まず、次の式が成り立つことを証明しておきます。
\(\Delta y=L・\Delta\sqrt{P}\)
\(\Delta x=L・\Delta\frac{1}{\sqrt{P}}\)
今回証明する式のポイントは、Real CurveとVirtual Curveで定義される値が混在しているということです。


Δyはあなたが提供しようとしているUSDTの枚数なので、Real Curveで決定されます。
Lは平行移動する前の\(xy=L^2\)で定義したので、Virtual Curve上で決定されて固定です。
あなたは流動性を等価で提供する必要はないので、ΔPはReal Curve上で定義される値ではなく、Virtual Curve上で得られる値であることが分かります。(言い換えると、あなたが提供する流動性の枚数をVirutal Curve上に戻すと現在価格を表す)
つまり、あなたが提供する流動性の変化Δyは、Virtual Curve上のPの変化ΔPで求まるということです。(Lは固定)
証明の過程も載せておきます。
\(\Delta Y=L・\Delta\sqrt{P}\)
\(\sqrt{xy}=\frac{y_{1}-y_{0}}{\sqrt{P_{1}}-\sqrt{P_{0}}}\)
\(\sqrt{xy}(\sqrt{P_{1}}-\sqrt{P_{0}})=y_{1}-y_{0}\)
\(\sqrt{xy}(\sqrt{\frac{y_{1}}{x_{1}}}-\sqrt{\frac{y_{0}}{x_{0}}})=y_{1}-y_{0}\)
Virtual Curve上では、\(\sqrt{x_{1}y_{1}}=\sqrt{x_{0}y_{0}}=\sqrt{xy}=L\)のため、
\(\sqrt{\frac{x_{1}y_{1}y_{1}}{x_{1}}}-\sqrt{\frac{x_{0}y_{0}y_{0}}{x_{0}}}=y_{1}-y_{0}\)
\(\sqrt{y_{1}^2}-\sqrt{y_{0}^2}=y_{1}-y_{0}\)
\(y_{1}-y_{0}=y_{1}-y_{0}\)
Δxについても同様です。
では早速、ビットコインをUSDTで売却するときのビットコインの価格を求めてみましょう。
売却時のビットコインの価格を\(P_{target}\)、ビットコインの現在価格を\(P_{currrent}\)とします。
\(P_{target}\)を左辺に移行すると、次のように変形できます。
分子分母を逆にして、両辺にLを掛けると\(P_{target}\)の式を求めることができます。
この式のΔxにビットコインのスワップ量、\(P_{currrent}\)に現在のビットコインのUSDT建ての価格、Lに現在のバーチャルカーブのLの値を入れることでスワップ価格が計算されます。



現在のビットコイン価格はどうやって決まってるの?
パンケーキスワップV2では単純な枚数の割り算で価格が計算されていましたが、パンケーキスワップV3は等価に仮想通貨を提供することが前提になっていないため、割り算では計算されていません。
パンケーキスワップでは、tick(ティック)という価格単位をもっと細かくした特有の単位で現在の価格を掴んでいます。
提供されている流動性はこのtick毎に配置され、たくさん積み重なっているようなイメージです。


現在のtick付近にはたくさんの流動性が配置されやすく、これが次に説明するプライスインパクトやスリッページが起きにくい理由でもあります。


tickは次の式で定義されています。
\(Price=1.0001^{tick}\)



例えば、今回1.0001USDT/BTCの価格を表すならtick=1ですね。
このtickの区分1つ1つが仮想通貨の価格と1:1で対応しています。
私たちがスワップを行うと現在該当しているtickが消費され、全てなくなると次のtickに移り、スワップが終わるまでこれを繰り返します。
現在価格は今該当しているtickと対応し、スワップ価格は次の移動したtickに対応しています。
補足:PancakeswapV2とV3スワップの違い


パンケーキスワップV3とV2のスワップには次の2つの違いがあります。
①プライスインパクトが発生しづらい
パンケーキスワップV3ではプライスインパクト(Price Impact)やスリッページ(Slippage)が発生しにくくなっています。
分散型取引所の仮想通貨の価格は、他の仮想通貨の市場価格と大きく乖離することはありません。
アービトラージトレードと呼ばれる、市場間の一時的な価格差で儲けを出すトレード方法があり、これにより市場間の価格が埋まるようになっているからです。
しかし、一時的な価格変動のしやすさは分散型取引所によって異なります。



それは流動性の提供量が異なるからです。
これにより、プライスインパクトやスリッページが発生しやすい流動性プールも生まれてしまいます。
しかし、パンケーキスワップV3は投資家が価格範囲を決めて流動性を提供し、現在価格付近に流動性が大量に供給されるため、一時的な価格変化が他の分散型取引所と比べて起きにくくなります。
次のような、現在価格に流動性が集中している極端な例を挙げてイメージしてみましょう。
ある1人が以下の価格範囲でBTC&USDTの流動性を提供しました。
- 現在価格:10,000USDT/BTC
- 上限価格:10,001USDT/BTC
- 下限価格:9,999USDT/BTC
このとき、枚数変化を表すリアルカーブと価格変化を表すバーチャルカーブは次のような形になります。





上限価格と下限価格が現在価格に近いほど、グラフが大きく平行移動することになるからです。
リアルカーブ上での変化はバーチャルカーブ上でのわずかな変化にしかならないため、プライスインパクトやスリッページがほとんど発生しないことを意味しています。
ちなみに、Pa(下限価格)が小さくなったり、Pb(上限価格)が大きくなると、平行移動する長さが短くなります。
リアルカーブ上でより大きい動きができるようになるため、バーチャルカーブ上での価格変動が起きやすくなる訳です。
②ルート機能で効率良くスワップできる
パンケーキスワップV3では本記事冒頭で紹介した次の3つのルート機能により、安く効率的にスワップができるようになっています。
※読みたい所にジャンプして戻れます。
まとめ:PancakeswapV3を使いこなそう!


パンケーキスワップ(Pancakeswap)V3のスワップは以下の手順で行えます。
※読みたい所にジャンプして戻れます。
スワップができない時は次の原因が考えられます。
※対策方法が知りたい所にジャンプできます。
パンケーキスワップの利用にはガス代が必要です。
必要なガス代は海外取引所Bybit(バイビット)で購入できます。


海外仮想通貨取引所に日本円を直接入金することはできません。
Bybitで仮想通貨を購入するためには、国内取引所から仮想通貨を送金する必要があります。



Bybitへの送金手数料が無料の国内取引所ビットフライヤーの口座を開設して、送金手数料が無料の仮想通貨XRPを買って送金しましょう!
- bitFlyerで送金手数料が安い仮想通貨XRPを購入
- 仮想通貨XRPをBybitに送金
- XRPを使ってBybitでガス代となる仮想通貨を購入
- ガス代をメタマスクに送金



こちらの記事でbitFlyer⇒Bybit⇒メタマスクまでの一連のやり方を詳しく解説しているので参考にして下さい。
パンケーキスワップはV3になりプライスインパクトやスリッページが発生しづらくなり、使いやすくなりました。
BNB Smart Chainを利用するなら必須の分散型取引所なので、使い方をマスターしましょう!
コメント